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ドイツってどんな国?

筆者は高校に在学中初めてドイツを訪れて一目惚れ、大学に在学中は、二度のドイツ留学を経験しました。

ドイツは歴史的に見ても異例なほど、民族、宗教、国籍といったアイデンティティの対立に苦しめられてきた国。

でありながら、ナチスによる独裁政治、社会主義、資本主義など様々な社会経済体制を経験してきた国。

本記事では、そんなドイツの魅力を様々な角度からお伝えできたらと思います。

Table of Contents

1.  ドイツの基本情報

国旗:黒は勤勉、赤は情熱、金は名誉を表しているともされています。

ドイツ連邦共和国(通称ドイツ)は、ヨーロッパ大陸における経済・政治の主要的な国。

首都:ベルリン

フランスやスイス、オランダ、ポーランド、デンマークなどの国と隣接し、旅行に行きやすい立地にあります。

公用語:ドイツ語

人口:約8315万人(2019年9月時点)

首都人口:約375万人(2018年時点)

面積:35.7万平方キロメートル(日本の94%なのでほぼ同面積)

宗教:カトリック30%、プロテスタント29%、イスラム教3%、ユダヤ教0.1%など

2. 身近にあるドイツ

歴史的にドイツは、

「詩人と思想家の国(Das Land der Dichter und Denker)」

と呼ばれてきました。

例えば、以下に列挙した名前は身に覚えのある方も多いかもしれません。

●クラッシック音楽の「3B」バッハ・ベートーベン・ブラームス

●世界的文豪であるゲーテ

●社会主義運動の生みの親であるマルクス

●グリム童話の編集者として世に名を馳せるグリム兄弟

●活版印刷機を発明したグーテンベルク

●歌劇の父、ワーグナー

パッと思いつくだけでも、世界の歴史を変え、今も影響を及ぼしている著名人がずらり。

他にも、ニーチェやカント、ヘーゲルなどの哲学者も沢山輩出しています。

上記では文学者を主に列挙しましたが、ドイツは戦前から科学・医学の発展にも秀でています。

例えば、アインシュタインレントゲンもドイツ出身で、83名のノーベル賞受賞者がドイツから輩出されています。(2019年12月時点)

この数字は、アメリカ、イギリスに次いで世界3位

また、ガソリン自動車やディーゼルエンジンを発明したのもドイツ人です。

豆知識

液体燃料ロケットの大半は、戦時中にナチスが開発した技術が基礎となっています。

実は武器輸出国としても、アメリカ、ロシアに次ぐ世界第3位だそうです。

(これを聞くと負の遺産が実は、陰で私たちの生活基盤を支えていると実感する。その逆も然り。けれどやはり、ナチスは反面教師にすべきだし、歴史を繰り返さないことは重要だと思う。)

こうした歴史の中で体系化された技術をもとに、様々な産業でドイツ製品・サービスが活躍しています。

●自動車:メルセデス・ベンツ、ポルシェ、BMW、Audi、フォルクスワーゲン

●化学・薬品大手:バイエル(アスピリン発明)

●電機:Siemens、BOSCH

●航空:ルフトハンザドイツ航空

●ソフトウェア:SAP

●カメラメーカー:カール・ツァイス、Leica

●世界最大の映画用カメラメーカー:アーノルド&リヒター

こんな感じで、ドイツはメカ、文学、音楽、写真の愛好家はもとより、ドライブ好きにはうってつけの国です!

 

 

(ドライブ好きにはアウトバーンという速度無制限の高速道路があります。渋滞がない日は最高!笑)

3. ドイツを知る6つのキーワード

1. ECONOMY / 経済

世界有数の持続可能な先進工業国。

ドイツは世界第4位の経済大国であり、GDPの規模では欧州内で第1位。EUの中で最も安定した経済力を持っていると言えます

また、ドイツは、日本と同じく製造業をその経済基盤とし、輸出志向が強い傾向にあります。

大黒柱である製造業の利益率の水準は高く、東欧を含む近隣諸国からの安価な労働力、原材料の調達がドイツ経済の要であるともいえます。

上記で示したように移民の割合も多く、世界の移民人口数は、アメリカ合衆国に次ぎ、ドイツは世界第2位。

今後、イギリスのEU離脱、米中摩擦やコロナウイルスによる不景気の関係で、今後どうドイツ経済が動いていくか注目したいところです。

2. GOVERNANCE / 支配体制

ドイツは連邦制を取っており、16の州で成り立っています。

ドイツでは各州が独自の法体系や行政権を持ち、司法権も州の権限が強いと言われています。

企業も日本の東京のように一カ所に集約されておらず、世界に名だたる大学も各地に散らばっています。

また、上記のような体制にあやかってか、クリスマスマーケットやオクトーバーフェスト等のイベントも街によって違った雰囲気を楽しめるのも特徴です。

3.  TRADE / 貿易

ドイツといえば、世界有数の貿易大国。

また、日本にとってドイツは欧州最大の貿易相手国でもあります。

実際に私たちが店頭で購入するような物でなく、

工業機械や特殊なネジ(たとえばレースカーで使う、ミサイル)などのニッチ市場で世界最大にシェアを占めているそう

4. SOCIETY / 社会

世界が注目する充実した社会保障。

ドイツは世界に先駆けて社会保障を確立した国です。

19世紀、鉄血と呼ばれたビスマルクが、社会主義者に弾圧を行う一方、社会保障を充実させて世界初の社会保障制度をつくりました。

現在までに法制度を幾度と重ね、今日でも手厚い社会保障は健在しています。

(基本的に民主主義国家は社会保障費を国家支出の最大個別項目とする。)

よって、現在でも高齢者や失業者など社会的弱者への支援も厚いことで有名です。

しかし、近年の移民問題でこの「手厚い」サポートがドイツ国民の首を絞めているのも事実

実際、不満を持っているドイツ人の友人も少なくありませんでした。

5. ENVIRONMENT / 環境

環境に優しいエコ国家

ドイツといえば環境先進国としても知られていますが、日本の環境政策はドイツと比較して10年以上遅れを取っていると言われています。

ちなみに、筆者が当初ドイツに留学を志願した理由もドイツの環境政策やオーガニック製品の普及を身をもって学ぶためでした。

北海の洋上風力発電所は、エネルギーシフトを担う柱である

 

北海の洋上風力発電所(画像元:Bloomberg)

1990年代からドイツは再生可能エネルギーを促進してきており、エネルギーシフトにより、再生可能エネルギーを中心とした電力供給を目指しています。

エネルギーシフト:ドイツのエネルギー供給を石油、石炭、天然ガス、原子力から再生可能エネルギーへと転換させること。

エネルギーシフトに関しては賛否両論ですが、多くの雇用機会の産出なども含め、経済的戦略等もふくめ、総括的な政策案がドイツでは現在でも検討されています。

また、ドイツでは天候条件により太陽光発電と風力発電はドイツにおける電力需要の90%までを賄うことができるんです。

加えて、すべての新築住居の60%以上は、すでに再生可能エネルギーによる暖房を備えているとのこと。

ドイツの環境政策に興味のある方は、再生可能エネルギー法(EEG)で検索すると様々な文献で情報が得られます。

また、法整備や政策のみならず、実生活でもエコ推進が盛んに行われています。

というのも、ドイツは欧州で初めて緑の党を結成し(1980年の旧西ドイツ)、エコ、オーガニック(BIO)先進国でもあります。

例えば、スーパーマーケットの飲料コーナーでは、特に酒類において缶よりも圧倒的にビンが目立ちます。

これらのビンの大半が繰り返し再利用されており、購入時にはデポジットが価格に算入されています。そして、返納した時にデポジットが返還される仕組みです。(ペットボトルや缶でも印があれば、手続きは同様。)

参考文献:ドイツの実情、ドイツ大使館、ドイツ政府統計

6. LABOR / 労働

短い労働時間と高い生産性:コストパフォーマンス重視の労働

ドイツの労働市場は就業率が高く、失業率が低いことで注目を浴びています。

質実剛健なイメージとよく取り上げられるドイツ人だが、実は労働時間がOECD(経済協力開発機構)の加盟35か国の中で最も短いです。

その大きな一因がドイツの法律。

ドイツでは労働に関する法律が他国と比較しても厳しく、10時間以上の労働禁止、始業までは11時間以上空けることなどが義務付けられています。

にもかかわらず、生産性は34か国中13位と高い結果となっています。(2018年時点。日本は21位)

4. 最後に

最近では日本でも商業的にではあるものの、オクトーバーフェストやクリスマスマーケットなどドイツ文化を垣間見ることが増えました。

日本も多様化が進んで、こうした国際的なイベントが増えてきて嬉しい限りです。

ビールもワインも現地の方が数倍美味しいですが(笑)

しばらくは、ドイツが恋しくなったら本ブログにどんどん執筆してドイツ愛を満たすこととします。

最後までご一読、ありがとうございました!